契約というものは、人に判断能力が備わっているという前提で行われます。ところが判断能力が不十分な方の場合、自分にとって不利な契約をしてしまったり、その方にとっては必要のない契約を結んでしまったりすることがあるかもしれません。この時、判断能力の不十分な方は安心して生活することが難しくなることがあります。 そこで、民法では判断能力の不十分な方に支援者を用意し、その支援者に代理権などの権限を与えることによって、判断能力の不十分な方の代わりに契約を締結する、あるいは判断能力の不十分な方が結んでしまった契約を取り消すことによってその人の財産を守り、その結果安心して生活が送れるような制度を作りました。 このように、成年後見制度とは知的障害・精神障害・認知症・その他の理由によって判断能力が不十分な方について、支援者を選任することによって、判断能力が不十分な人達を法律的に保護し、判断能力が不十分な人が安心して生活することができるようにする制度です。

成年後見制度の分類

成年後見制度の分類①(法定後見か任意後見か)

成年後見制度は、現在判断能力があるか否かで分類されます。
法定後見制度…現時点で判断能力が不十分な方が利用する制度です 。
任意後見制度…現時点では判断能力が十分にある方が、将来判断能力が十分でなくなった場合に備えて、あらかじめ誰に支援してもらうか(任意後見人)、どの範囲で代理権を与えるのかを公証人の作成する公正証書で決めておく制度です。

成年後見制度の分類②―法定後見制度

すでに判断能力が不十分な方は法定後見制度を利用しますが、判断能力に応じて、種類が代わります。

種類対象となる方
後見常に判断能力を欠いている方
(民法第7条「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者…。」)
保佐判断能力が著しく不十分な方
(民法第11条「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者…。」
補助
判断能力が不十分な方
(民法第15条1項「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者…。」)

保護者の権限

成年後見人等は以下の権限が与えられます。

成年(被)後見人(被)保佐人(被)補助人
対象者 常に判断能力を欠いている方 判断能力が著しく不十分な方 判断能力が不十分な方
代理権財産に関する全ての法律行為裁判所から審判を受けた範囲 裁判所から審判を受けた範囲
同意権
同意権なし(判断能力がない人の同意をすることが無意味)民法13条1項で定められたもの※民法13条1項で定められたものの一部
取消権日常生活に関わる行為以外の行為すべて同意権を定めた範囲で同意を得なかった行為同意権を定めた範囲で同意を得なかった行為

※(民法13条1項で定められたもの)
① 元本を領収し、又は利用すること。
② 借財又は保証をすること。
③ 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
④ 訴訟行為をすること。
⑤ 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
⑥ 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
⑦ 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
⑧ 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
⑨ 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。