法定後見制度
法定後見制度とは現時点で認知症や知的障害、その他の理由により判断能力が不十分な方に代理人をつけて支援する制度です。
判断能力によって以下の3つの類型に分かれます。
種類 | 対象となる方 |
---|---|
後見 | 常に判断能力を欠く方 (民法第7条「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者…。」) |
保佐 | 判断能力が著しく不十分な方 (民法第11条「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者…。」) |
補助 | 判断能力が不十分な方 (民法第15条1項「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者…。」) |
知的障害者の場合、一つの目安として療育手帳の判定があります。
最重度・重度の方は後見相当
中度の方は保佐相当
軽度の方は補助相当となります。
(あくまで目安ですので必ずしも上の審判があるわけではありません。)
後見人等には以下の権限が与えられます。
成年後見人 | 保佐人 | 補助人 | |
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対象者 | 常に判断能力を欠いている方 | 判断能力が著しく不十分な方 | 判断能力が不十分な方 |
代理権 | 財産に関する全ての法律行為 | 裁判所から審判を受けた範囲 | 裁判所から審判を受けた範囲 |
同意権 | 同意権なし(判断能力がない人の同意をすることが無意味) | 民法13条1項で定められたもの※ | 民法13条1項で定められたものの一部 |
取消権 | 日常生活に関わる行為以外の行為すべて | 同意権を定めた範囲で同意を得なかった行為 | 同意権を定めた範囲で同意を得なかった行為 |
※(民法13条1項で定められたもの)
① 元本を領収し、又は利用すること。
② 借財又は保証をすること。
③ 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
④ 訴訟行為をすること。
⑤ 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
⑥ 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
⑦ 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
⑧ 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
⑨ 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
保佐人や補助人には同意権が与えられます。本人は民法13条1項に定められた行為をするときは保佐人・補助人にあらかじめ同意を取る必要があります。もし、同意を得ずにこれらの行為をすると取消の対象となります。
成年後見人・保佐人・補助人は本人がした法律行為について取り消しをする権限があります。ただし日常生活に関わる法律行為については取り消すことができません。